トップページ>入試問題分析>整数問題(1)>整数問題(2) つづいて、「連続する r 個の整数の積」について見てみましょう。 A 連続する r 個の整数の積 このテーマでまず重要なのが、「連続する r 個の整数の積は r! の倍数になる」という性質です。 これって、みなさん証明できますか? んん? 結論だけ覚えていればいいじゃん! って声が聞こえてきそうですが、前述したように 公式等は必ず導けるようにしてくださいね。 証明は、ここです。 すぐにクリックしないでね。 ![]() このテーマは、「〜の倍数であることを示せ」系の問題が中心となります。そして、当たり前な んですけど、その倍数っていうのは、6の倍数か24の倍数のどちらかですよね。 なぜって、3!=3×2×1 ですし、4!=4×3×2×1 ですからね。さすがに、5!=120の倍 数である証明は出ないんじゃないでしょうか。わかりませんけど・・・・ このテーマの解法テクニックは前述の「ひらめきツール(6)」と関連。下を見てください。
これだけですね。そういった意味では単純ですが、「補う」という発想は事前に準備しておかな いと、そう簡単にポンと出るもんじゃありません。こういったテーマでは、根底にある「ひらめき ツール」がとっても重要なんですね。 では、問題を見てみましょう。 どうですか? 連続する部分を作ることはできますか? 意外と難しいですよ。 NO.8の解答は、ここです。しっかり考えてからクリックしてね。 ![]() 「連続する r 個の整数の積」問題については、この程度で十分でしょう。 ![]() では、次に 「素数」問題を見ていきましょう。 B 素数 このテーマで重要なのが、「素数」の定義ですね。 @整数解問題の中の問題NO.4でも素数が 絡んできましたよね。 NO.4の解答でも書きましたが、 「素数とは、1とその数自身以外に約数を持たない自然数のこと」です。そして、よく勘違いし ている人がいるんですが、「1は素数ではない」と いうことに注意してくださいね。 「素数」の解法テクニックは、いたってシンプルです。
これだけです。(A)は整数解問題の(@)と同じですね。 これって当たり前なんですよね。 素数って、約数に1と自分自身の数しか持たないために積形 に持ち込んでしまうと極端に候補者がしぼれちゃうんですよね。だから、この性質を問う問題が よく出題されるんです。 (@)の素数の定義が論点の問題はNO.10-2です。 これ以外に、2004年度の一橋大学の問題は剰余類で説きます。でも(@)(A)だけおさえてお けばいいでしょう。 問題を見てみましょうか。 素数問題の代表作品ですね。これ1問で汎用性ありですね。 しっかり考えて、ここをクリックしてください。 ![]() さて、最近の入試問題をみてみましょうか。 2007年度の千葉大学理学部(後期)6番の問題です。 もちろんこの問題も(A)「積形に持ち込んで・・」なんですが、なかなか手ごわい問題です。 鼻血が出るまで考えてから、ここをクリックしてください。 ![]() もう1問いきましょう。 2009年度の千葉大学(前期)11番の問題です。 この問題は「積形に・・」というよりも(@)素数の定義をきちんと理解しているかを問う良問。 (1)は自然数の中から素数を選び出す方法(エラトステネスの篩)がパッとリンクするかど うかですね。(2)(3)はともに直接に証明することが困難ですから、間接証明法(背理法) がアウトプットできるかが勝負の分かれ目です。「ひらめきツール (7)」の「逆から見ると いうアイデア」で すね。 難関大学ほど「ひらめきツール」の利用が多くなってきます。それは何度も言っているよう に、暗記一辺倒の生徒をそれこそ「篩(ふるい)」にかけたいからですよね。 がんばって挑戦してから、ここをクリックしてね。 ![]() 「素数」問題は、これで終わりです。おつかれさまでした・・・・・・・・・ ![]() では、次に 「剰余類」の問題をみてみましょう。これもホントによく出題されますよね。 C 剰余類 すべての整数を、ある整数で割った余りで分類する方法のことです。 たとえば、3で割った余りで分類すると、すべての整数は 3k、3k+1、3k+2 (kは整数)のい ずれかに属しますよね。 剰余類は、「〜の倍数であることを証明せよ」と いった問題でよく利用されます。 便利ですから、ぜったいにマスターしてくださいね。 なお、「合同式」もある整数で割った余りに着目するワザで、 a≡b(mod n) の記号を使いま す。これだと、剰余類に比べて飛躍的に記述量が少なくてすみます。とっても便利です。 難関大学だと、知っておいたほうがいいかもしれませんね。実際、名古屋大学で出題された ことがあります。 「合同式」がわかりやすく説明されている本は、「大学入試数学の裏ワザが面白いほど使え る本[TAUB]志田晶/著(中経出版)」です。 気になる人は見てみるとよいと思います(本屋さんで立ち読みで・・・・・)。 さあ、剰余類の代表的な問題(数え切れないほどの大学で出題されてます)を見てみましょ う。 「3の倍数」が論点になっていますから、3で割った余りで分類したいですね。 しっかり考えてから、ここをクリックしてください。 ![]() では、最新入試問題を見てみましょう。2008年神戸大学理系(前期) 3番の問題です。 (1)は、まさしく剰余類でオシマイです。(2)(3)は連続する2つの整数は一方が偶数 で他方が奇数ということに気づけば・・・・・・・・ よ〜く考えてから、ここをクリックしてください。 ![]() 剰余類の問題は、2010年広島大学文系(前期)に 出題されています。みてみましょう。 数列との融合問題ですが、まさに剰余類が聞かれている問題ですよね。 解答は、ここを クリックしてください。 ![]() もう一丁、2010年千葉大学(前期)の問題もみてみましょう。 シンプルゆえに難しいですね。積形に持ち込むことと剰余類で攻めること、これらに気付くか どうかです。 解答は、ここをクリックしてください。 ![]() ちょっと横道にそれますが、合同式が便利なツールであることをお見せします(NO.11の別解で も示しました が・・・) 2003年度東京大学理系(前期)4番の問題です。 (3)の周期性の証明を合同式で処理するとメチャクチャ簡単です。帰納法だと記述量が増 えて大変・・・・・ 解答は、ここをクリックしてください。 ![]() さあ、いよいよ最後のテーマ「公約数・公倍数」が論点になっている問題です。 D 公約数・公倍数 頻出というわけではありませんが、おさえておかないと不安ですよね。 解法テクニックは次の通りです。
(@)はものすごくあたりまえのことなんですが念のため。「L.C.M.(最小公倍数)とは、いく つかの整数の公倍数のうち、正で最小のもの」です。「G.C.M.(最大公約数)とは、公約数 のうち、正で最大のもの」です。 この定義から、3つの性質が導かれます。 (1)〜(3)とも定義から、とうぜんですよね。確かめておいてね。 (A)は意外と知っていない人が多いです。たまに入試でも出題されます。 どうです、知ってましたか? 解答は、ここをクリックしてね。 ![]() (B)については、こんなふうに出題されます。 解答は、ここをクリックしてください。 ![]() (C)については、整数解問題と同じです。NO.15の解答でも書きましたが、公約数をdとおい て積形にもち込 んでいきました。これによりdの候補が絞れましたよね。 さて、最近では「公 約数」の問題は、2009年度神戸大学理系(後期)4番で出題されています。 見てみましょう。 (3)は(1)のような恒等式が作れるかがポイント。よくにらんでみると見えてきませんか? 解答は、ここです。よ〜く考えてね。 ![]() 「公倍数」の問題もみておきましょう。2010年度神戸大学理系(前期)2番で出題されています。 各問とも、「ただし〜」の部分を利用することがポイントです。これって、ヒントが与えられて いるんですよね。そして、(2)(3)は対称式の変形と(1)の結論を利用します。つまり、 「誘導にのれ!」ってことです。 解答はここをクリックしてね。 ![]() 以上で、なが〜い「整数問題」の講義は終了です。 整数問題は、パターン学習では網羅しきれません。かなり「ひらめき」が必要となる分野です。 でも、ここに紹介した「パターン」で脳味噌を鍛えておけば、かなりいい線いきますよ。 きっと! まず、自分の両隣の人よりは実力は上でしょう(あたりまえか・・・・・)。 あとは、エビングハウスの忘却曲線に則って「復習」をちゃんとやってくださいね。 ホントにおつかれさまでした・・・・・ ![]() |